『一時代 唯一無二の その思想 所詮は道具 時に消える』
ヴェリコ・タルノヴォに長居をし過ぎたおかげで、
我輩と下僕が良く通り写真を撮るお店において、
ついに我輩のファンの方すら現れ始めた。
確かに我輩が魅力的なのは分るのだが、その尻馬に下僕のたわけが調子に乗っている現状があり、
どうしたものであろうか?と悩む日々である。
読者の皆様こんばんは、自分の魅力がワールドワイドな事に、
罪の意識を覚えそうな我輩である。
さてそんな風に長居しているヴェリコであるが、
前の記事で下僕が書いたように、
今回は、我々が待ちわびていたツアーに付いての、
久しぶりの我輩レポートである。
まずツアー始まりは朝の9時。
下僕は愚かにもツアーメンバーが集まったことに前日の夜に喜びすぎ、
少々二日酔い&寝不足であったのだが、我輩の一喝と同行者であった、
72歳をオーバーしているにもかかわらず、どう見ても50代そこそこに見える、
日本人のご婦人よりなんと寝過ごすことも無く起床。
さあ!これからツアーが始まるぞ!と意気揚々と車に乗り込む我輩と、
ご婦人Hさんと男性Kさんとガイド兼ドライバーさんと下僕。
今日はうす曇から晴れに移行しそうな爽やかな風が流れれいるなあ、と、
そんなことを思いながら車の外を流れる風景を見ていたら、どうも車の調子が悪い。
何事かと思っている内に、なんと市内で車が止まってしまった……
そしてガイドの方曰く、
『車のガスが切れた……』

車を用意する前に気がつけよ!と思ったりもしたのだが、
まあここで怒っても仕方ない。
むしろアレである、移動の途中の山間とかでガス欠にならなかった事を幸運に思い、
下僕に車を押させて安全圏まで車を移動させ、一服つける我輩。
その間にガイドさんがタクシーにてガソリンスタンドまで向かい、
ポリタンクに入れたガソリンを注入する事で、車は再び動き出した。

と言うか確か我輩の記憶が確かならば、ガソリンは揮発溶剤であるはずだから、
ポリタンクに入れて持ち歩いてよいのだろうかな?
さてその後すぐにちゃんとしたガソリンスタンドで満タンにし、
車は快調にブルガリアの秋の風景の中を進んでいく。
そしてくねくねと曲がりくねった山道の振動に下僕が、
『いま遠くを必死に見ているので話しかけないでください』と、
青い顔から土色にまで顔色が変わり、限界を迎える寸前になるという、
かなりどうでもいい話がありながらまず到着したのがこちら、

遠くの丘に目的地である『UFO』を望むモニュメント、
ソ連とブルガリア関係を表す鉄の塊である。

この向かって右の大きなトーチがソ連を表し、左の一回り小さな方がブルガリアを表していたらしいのだが、
正直こんな高台にこんな巨大な鉄のモニュメントが置いてある時点で、
失礼ながら我輩は少々笑ってしまう。

何しろこんな風景の中にあんな異形な代物があるのだ、
正直どうかしているとしか我輩には思えない。
まあ、その時代の変遷のかけらを見るようで、その時点でも十分に興味深かったのだが、
このトーチの裏手より微妙に傾斜のきつい坂道を登り、

下僕が『こんな高台なのに更に歩く道を作るとか、バカじゃねーの……』と嘯くこと15分。
ついに我々が待望し、待ち続けた建物が我々の目の前に現れた。

ちなみに後ろの塔も以上に大きく、

先端には共産主義のシンボルである『赤い星』が描かれている。
そして入り口に書かれている、

『FORGET YOUR PAST(貴方の過去を忘れろ)』の文字。
これだけでもなんというか、業の深い建物であると思えてしまう。

そして大きさもまた、どうかしていると言わざるを得ないサイズをしている。
こんなものを高台の丘の上に『プロパガンダ』として作ってしまうとは、
ひとつの時代を象徴する思想と言うものの、強さを感じずににはいられないな。
さて先の写真から分かるように、正面玄関は閉鎖されてしまっているのだが、
管理者もいない状況で20年以上放置されているこの建物、
色々な『冒険者』というか『先駆者』が道を既に開けており、
ついに我々もこの、過去の思想の塊であるUFOの中に入ることに成功。
そして目の前に広がっているのは、

ひとつの思想が、

時代のうねりによって、

今では用を成さなくなり、

朽ちてしまったという、

普通であれば比喩で使われる表現が、

現実の物として、

我々の眼前にある不思議である。

ここはブルガリアであるのに『祇園精舎の鐘の音』が、

今にも聞こえてきそうなほど、
まさに『諸行無常』を感じずにはいられない。

ほんの30年ほど前には大真面目で、
この思想が信じられていたと言うことが、
この巨大さと立地から分かる建物だけに、物悲しさとあわれを感じてしまうな。

何しろこの壁画はペンキ絵ではなく、全てがタイルで作られたモザイク絵なのである。
どれほどの労力を費やしたのだろうか?と考えるだけで、

正直、恐くなってしまう。
しかしどんなにその時代の人が熱心に信じていようとも、
巨万の金額を費やそうとも、

一度『必要とされない』となってしまうと、

本当に、ただ朽ちていくのみなのだなあ。

ある種ひとつの時代の体現のようで、我輩的には非常に興味深い、
そんな『プロパガンダ』な建物であった。

旅人的な無責任な意見を言わせてもらえば、こんな『美味しい』建物なのだから、
早急に保護して観光地にしてしまえば、色々な国から観光客の方が繰るような気がしてしまうのだが、
ブルガリアの方にとっては、いまだ記憶が生々しいだけに、
そっとしておいてほしいというのが本音らしい。
なんとも色々面で考えさせられ楽しめた、2週間も宿でメンバーを募った甲斐があった、
そんなこの『UFOツアー』であった。
さて下僕よ、もうこの土地にいる必要もない。
とっとと次の街、そして次の国のことを考えねばな。
うん?どうした下僕?
信じられないくらい青い顔をしているが……?
_______________________以下ちょっと洒落にならない事態が発生した下僕よりコメントお返事______________________
>>みずきさん
了解しました!!
これからもどんどんあげますよーー
と言いたいところなのですが……
>>Keith218さん
見てくださって光栄の至りでございます
取りあえずこの写真をお楽しみ頂ければ光栄です
取りあえずは……
>>八尋さん
ブルガリア……
もう間もなく出るはずだったのですけどもねえ……
はあ……
>>つるべさん
がんばって口説き落としましたよー
そして楽しかったです
それで終われば良かったのですが……
>>サイダーさん
お楽しみ頂けているようで何よりです
ただ今現在順調とはいえない状況になってしまいまして……
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テーマ:ユーラシア横断 - ジャンル:旅行
- 2010/09/24(金) 20:54:46|
- ヴェリコ・タルノヴォのボス
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